
巨幹残栄・1995年
四山鉱の竪坑ヤグラを初めて見た時の感動は今でも忘れられない。
同じ三池の宮原や万田の明治期の竪坑も文句なく素晴らしいが、古びた四山の竪坑は、威厳があり凄みを感じた。
大正時代に出版された三井三池の写真帳の表紙に竪坑ヤグラが使われている。
まさしく三池炭鉱の顔であった。
当時残っていた事が不思議なくらいで、何度となく三池を訪れた。
しかし、竪坑は1996年に爆破解体され、翌年三池炭鉱は閉山した。
私は、竪坑の解体の時、三池の閉山、そして日本の石炭産業の終焉を感じた。
かつて東洋一と言われた竪坑は、近代日本を支えてきた巨木で、それが朽ちて倒れた瞬間だったと思う。