緞帳には北炭と住友の炭鉱名が書かれている。
三笠市民会館で写す
北海道三笠市の三笠市民会館の緞帳(写真)を新しいものに掛け替えをし、古いものを破棄する方針を市は昨年末に示した。
古い緞帳は横11.5メートル、縦6メートルの大きさで、1969年の開館時に作られたもの。
当時の三笠市の基幹産業であった石炭を主にモチーフにしたもので、採炭する炭鉱マンの姿や竪坑やぐらなどが描かれている。デザインは三笠美術協会が担当し、石炭会社である北炭幌内鉱業所と住友奔別鉱業所が贈った。費用(緞帳と付属品)は当時の金額で250万円かかったという。
北海道には上砂川や歌志内に炭鉱が描かれたものが現存するが、制作されてから半世紀ちかくも経ったものはなく、貴重な炭鉱の文化財であることは間違いない。先日、緞帳を見てきたが、今も美しく、デザインから力強さを感じた。
三笠市は石炭産業と共に歩んできた。そして、石炭を産することで日本の近代化や戦後復興に貢献してきたのは事実である。時代は刻々と変化してきたが貴重な産業遺産として今後も使うのが望ましいのではないだろうか。破棄するのはあまりにも惜しい。三笠市はもう一度考え直してほしい。